ハラダチ日記

原田ちあきのオフィシャルブログです

カテゴリ: 出産レポート

~帝王切開開幕~早く早くと願いながら車いすを押されてようやく手術室に来た。出ているのは知ってるんだけど叫ばずにはいられない陣痛中だけど意外と頭って冷静で「手術台って意外と幅が狭いんだ~」とか「へえ~ここにある画面に心電図が映るのか~」とか考えていたことを



~帝王切開開幕~

早く早くと願いながら車いすを押されてようやく手術室に来た。
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出ているのは知ってるんだけど叫ばずにはいられない

陣痛中だけど意外と頭って冷静で「手術台って意外と幅が狭いんだ~」とか「へえ~ここにある画面に心電図が映るのか~」とか考えていたことを覚えている。

執刀医さんやら看護師さんが挨拶をしてくれて、気づけばあれよあれよと裸になり、手術台に寝かされ背中に麻酔を入れられた。
何故か陰毛を剃られている。もうなんでもいい。この陣痛の波さえなくなればなんでもいい。好きにして。
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麻酔をチクッっとやったあと、すぐに足先が痺れてきて次の瞬間陣痛が一瞬で消えた。

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て、て、て、天国じゃん!!!!!!!!!!

とにかく陣痛が消えたことが嬉しすぎて止まっていた思考がグルグル回転し始める。麻酔やべェ〜!
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ヤベエ~!

興奮して手がめちゃくちゃ震える。猛烈に眠いけど脳がギンギン。
痛くないことが嬉しすぎてどうでもいい事とかくだらないことを想像しまくったり思いつきまくる。

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そうだ。胎盤、胎盤が見たい。
バースプランに書き忘れていた。私はこの十月十日お世話になった胎盤がみたい。
めちゃくちゃいい考えだ、絶対見よ!!絶対絶対!ここからウチらのポジな思い出作ってこ!!!
ウチと赤ちゃんと病院の皆で思い出作っちゃお!!!

という旨を簡潔に先生に伝えてみるが、うわ言だと思われたようで無視されてしまった。チェッ!である。

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さみしいけれど私は大丈夫

手術室のライトにほんのり自分のお腹が映っている。お腹の下の方が赤い。
よく見えないけど多分私は今お腹を開かれている。お腹を開かれるのは人生初だ。
恐らく冷静な状態であればめちゃくちゃ怖いはずなのだが、今の私の脳は寝不足と混乱で全く普通ではないので「うわぁ〜私って本当に内臓があるんだ〜」程度の感想しか湧かなかった。
へえ~、帝王切開ってそんな下のところを切るのね。

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手術室はオルゴールのディズニーソングが流れていて、モニターの音と手術道具をカチャカチャする音、先生たちの話し声しかせずかなり静かで、もう2日ほどまともに寝ていないせいかその音が気持ちよくて気持ちよくてウトウトしてしまう。
多分お腹に手を突っ込まれている。体がゆさゆさ動く。それすらかなり気持ちいい。
麻酔、合う合わないがあるとよく聞くが今の私はかなりアッパーな効き方をしているようだ。ラッキー!

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ラッキー!

赤ちゃんが出てきたら縫合の時は寝ちゃおう。疲れたから。

赤ちゃん、どんな顔だろう。十月十日私のお腹の中にいた会ったことのない人。促進剤をたくさん使って苦しい思いをさせて申し訳なかったな。
無事に産まれたら仲良くしてくれるかな。
でかいモニターに私の心電図が写ってるの、なんかウケるな。

などとグルグル考えている約10分後、赤ちゃんの声が聞こえた。
「ホギャー」である。
ドラマとかで聞いたことのあるやつだ。すごい!私のお腹にいたやつ!お前はそんな声だったのか!
カーテンで顔が見えない!本当に私のお腹の中に人間が入っていたんだ!あんまり信じてなかった!!早く見たい!!!

妊娠中「産まれる前に赤ちゃんに何かあったらどうしよう」とばかり考えていて、もしもの時のためにあまり胎児に好きという感情を抱かないよう努力していたが、声を聞いたらもうだめだ。
ここから先もきっと不安なことだらけのはず。ならば今好きにならないと勿体ない。これ以上好きにならないのはもう無理。もう好きになる!というか好き!えーん!声だけで既にかなり好き〜!
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好きになりま~す!

先生が見せてくれた子供はなんか白くてボヨボヨでびちょびちょで浮腫んでいて、そしてとても可愛かった。
あととにかく爪が伸びていて「すごい!爪長ーい!」と声が出てしまった。
子供への第一声「爪長い」。
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しかもギザギザ

ミスっちゃったかな。
でもその中に「会いたかったよ」とか「はじめまして」とか「そんな顔だったんだね」とか全部詰め込んだつもり。
それにしても爪長いなぁ〜、私の中でちゃんといろんな細胞が育っていたんだ。凄いね、ありがとう。

嬉しくて嬉しくてニヤニヤしていると、看護師さんがデジカメを持ってきて子供と私の写真を撮ってくれた。
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写真を撮る間も私のお腹はガッツリ開いており、お医者さん達が私のお腹の中を見てあれやこれやしている。
私の人生史上、一番死に近い状態にいるのにデジカメで写真を撮られて「はいチーズ」とかやってるのヤバいな。
江戸の武士達よ、見ていますか?令和の女は腹を開きながら写真を撮ります。凄いだろ。

ああよかったな、会えてうれしいな。
猛烈に安心して胎盤を出したりお腹を縫ってもらっている間うとうと眠った。


手術が終わって部屋に帰ってきて、いろんな管とか点滴とか足にはなんか自動でシュコシュコするやつをつけられて、もう胎動のしないお腹に想いを馳せた。

一生に一度あるかないか。自分の中に十月十日他人がいた。
正直生まれるまで全部ドッキリでした〜って言われても信じるぐらい妊娠している自分の状況に自信がなかった。
全部が初めての体験で、毎日起こる全てに緊張していた。

でもお腹のなかの人は一人で頑張って栄養を受け取って、頑張って大きくなって、そして今日外の世界に出てきたのだ。
よく頑張ったね、すごい!あんたは立派だよ!!
「産まれてきてくれただけでじゅうぶん親孝行」という言葉があるけど、それを身をもって知ることができた十月十日だった。
まだ産まれてからちょこっとしか会ってないけど本当にあなたって完璧。ようこそ地球へ。

きっとこの先、お腹の中にいた人が生きていく中で辛いことや悲しいことに巡り会う時があるんだろうなあ。けど、なるべく幸せでいてほしいと思うよ。
私たちがあなたに生きる時間をプレゼントできたことをあなたが少しでも喜んでくれたらうれしいな。

もしかしたら「産まれたくなんてなかった」なんて思う日もあるかも。私にもあったよ。
でも私たちが中の人だったあなたに会いたいって思ってここまで来てもらったから、私たちにできることがあればなんでもしてあげたいなあ。力不足なことの方が多いかもしれないけど。

本当に生まれてきてくれてありがとう。
苦しくて痛い4日間だったけど、そのかわり凄く凄く色々なことを考えた4日間だった。
結果的にコロナ禍での出産と陣痛と帝王切開、全部味わえて得をしたように思う。最中は地獄だったけど。

色んなことをぐるぐると考えて感動したり、夫や友達にラインをしていたら看護師さんが中の人だった人に少しだけ会わせてくれて、それがとても嬉しくてちょっと泣きそうになった。
その後一人になった病室で、麻酔が切れるのが少し怖くて、もう寝ちゃおうと思って目を閉じた。

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さようなら私の妊婦生活。すごくすごく楽しかったよ。



~余談~
緊急での帝王切開だった為、看護師さんに「旦那さんに電話できる!?」と尋ねられたが、普通に話せる気がせず夫に送ったライン
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このブログを書くにあたって読み返したところ、焦りすぎて文章が簡素になってしまいかなりの手練れ感が出ていた。

4日目朝から「今日は強い促進剤に切り替えましょう!」とお医者さんが言いにきた。不安だしデジャブ〜!ただ昨日と違うのは今の私は猛烈に寝不足で、かつ陣痛も昨日までの促進剤できっちりきており体力も削られている。そんな中、更に強い促進剤を打っても大丈夫なのかしら…



4日目

朝から「今日は強い促進剤に切り替えましょう!」とお医者さんが言いにきた。

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不安だしデジャブ〜!


ただ昨日と違うのは今の私は猛烈に寝不足で、かつ陣痛も昨日までの促進剤できっちりきており体力も削られている。

そんな中、更に強い促進剤を打っても大丈夫なのかしら


不安すぎて「ギャァ〜耐えられるかな〜!」とお医者さんに向かって戯けてしまうと

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それを察してか「大丈夫、今日絶対産みましょう!」と言ってくれた。

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信じていいのね…?


〜朝9時〜

投薬が開始された。

元々陣痛があったので強い薬が足されたことにより開始直後早速ものすごい陣痛。

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普通、陣痛は10分から1分間隔まで痛みのない時間が徐々に減り、最後は4060秒陣痛、1〜2分休憩というリズムになるらしいのだが、この時私に来た陣痛は5〜7分の陣痛、2分休憩であった。

57分痛みがきて唸り、2分気絶したように眠る。眠い!痛い!

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拷問だ。

私は今薬によって拷問を受けている。

内臓に小さくて陰湿な妖怪を送り込まれ、そいつにグサグサ子宮を刺され続けている。

私が生まれてから32年間あらゆる所で起こしてきた罪を今この病院は償わせようとしてきている。

今までご迷惑をかけてきた皆さんすみませんでした。

安心してください。私は今あなた方におかけしたご迷惑の罰を受けています。


最初NSTがうまく反応しておらず私の痛がり方が変だということに誰も気づいていなかったが、自分で間隔を測るアプリを使い記録していたのでそれを見せたところ、急に看護師さんが何やら電話をし始めてお医者さんが駆けつけてきた。

ほらァ!やっぱりアプリ使っててよかったじゃーん!

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言ったじゃーん!


看護師さんは「どうしましょう?点滴続けますか?」とお医者さんに尋ねている。その間も私には陣痛が来る。

すみません。点滴を止めてから話してもらっていいですか…?

実は私はこの出産、静かに産むことを自分の中の目標にしていたのだが、この時にはもはや声を押し殺す体力も残っていなかった。

もう隣の部屋に人がいるからとか遠慮している場合ではない。


陣痛が来るたびに「ウウー!」「アアー!」と声が出る。

実はついでに私は小学生では応援団に、中学生では合唱部と水泳部、高校では演劇部に入っていた。

肺活量と声量のみを鍛え続けた青春時代、その甲斐あって私の叫び声は自分でも引いてしまうほどとにかくデカかった。

隣の部屋の人は産後疲れている中、ただただでかい叫び声を聞かされてさぞ最悪だろう。本当に申し訳ない。誰か私の声帯をいますぐ取ってくれ。

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投薬から30分、点滴中断。

中断したからといって陣痛が止まることはない。

子宮口4.5センチ。こんなに苦しくて4.5!!!私の身体のクソが!!!!!!!!!!


点滴をやめると陣痛間隔が長くなってきて、ひとまずご飯を食べて様子見することになった。

間隔が長くなるだけで普通に陣痛は来る。

痛すぎてご飯もまともに食べられない中、看護師さんが「先生が12時から点滴再開しよっかって言ってたよ!」と元気に報告しにやって来た。

なるほどね!死刑宣告ってこんな感じか!!


また、新たな発見なのだが私は内診グリグリと促進剤を併用されると、痛みではなくものすごく性的に不愉快な気分が押し寄せるようになることに気づいた。

最悪の表現で申し訳ないが、子宮内部に指を突っ込まれ無闇矢鱈にガシガシされる気分がずっと続くのだ。促進剤、邪悪すぎる。


〜12時〜

投薬再開直後から驚くほどの痛み。

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そして子宮口4.5センチなのにもう「いきみたい!」が始まってしまった。

これがまた難儀で、実際は赤ちゃんが降りて来ている感覚らしいのだが、猛烈に猛烈に猛烈にうんちがしたい気分になる。


いきみ逃しにいいと聞き、入院前に意気揚々と自宅で用意していたテニスボールを一人寂しく尻に当てるもうまくいかず、陣痛が来るたびに性的な不快感が押し寄せ、でかい声は止まらず、うんちも我慢しなくてはならない。やることてんこ盛りである。


陣痛が来るたびに汗と羊水と涎が噴き出るがかまってもいられない。

「ウワー!」っと馬鹿でかい声を出しながら床に這いつくばって苦しんでいると看護師さんがきて軽く私の腰を押しては慌ただしく出ていく。

私はその背中を見ている。看護師さん立派な仕事だ忙しいのに来てくれて腰もさすってくれて

でも頼む一生のお願いをここで使わせてくれ出て行かないでくれ

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ベッドで寝たい。でも寝たら余計に痛い。床に座るしかない。床は床で痛い。

もう野良猫に想いを馳せる余裕も持てない。

この頃には1分寝ては5分〜7分陣痛で苦しむ状態を繰り返していた。だめだ!おかしくなる!ギャー!

1時間半ほど耐えて泣きながら布団を噛んでいたら先生が現れて仰向けにされ、グリッと内診。

その仰向けと内診がもう無理!!グリっとされるともう最悪!!!

「お腹の中が気持ち悪いよー!!!」と泣き叫んでしまう。32歳なのに。

子宮口4.5センチ!最悪!もうダメ!


と、ここで先生が「原田さん!聞こえますか?」と一言。

「聞こえてまーす!」と泣きながら絶叫すると


「今日は月曜日で今はお昼なのね。

それで原田さんのお腹はもうすぐ感染症のタイムリミットなんです。

こうなってくると今から緊急で帝王切開にするか夜までこの薬を頑張って自然に産むのを待って無理なら帝王切開にするかどっちかになるの。

夜はスタッフが少ないんだけど、どうしたい?

という2択を提案してきた。

誰がどう考えても前者がいいに決まっている。もう無理。何も考えたくない。

「今帝王切開しまーす!」

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帝王切開、妊娠中は怖い怖いと思っていたが、ここまでくるともう地獄に現れた一本の蜘蛛の糸である。


「わかったー!じゃあ準備するから!」と先生は颯爽と走っていく。助産師さんは私をベッドに押さえつけて尿のカテーテルを差し込む。

おしっこが勝手にジャージャー出ていく。

うんこしたい!お腹気持ち悪い!陣痛が来る!おしっこが勝手に出る!

何で!点滴したまま!それするの!止めてー!!!


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我慢できずに「促進剤を止めてくださーい!」と絶叫するとやっと投薬が止まったが、陣痛は止まらない。神様私が一体何をしたというの


助産師さんが車椅子を持って現れ、私を車椅子に乗せてくれる。ありがとうございます!!!

なんでもいい!誰かはやくこの陣痛を止めてくれ!

「おしっこしたーい!」と泣きながら絶叫すると

「もうカテーテルからおしっこ出てるよー!」と諭される。

車椅子に乗って手術室に向かう間ずっと私と助産師さんはこの

「おしっこしたーい!」「出てるよー!」の会話を繰り返し続けた。私は今完全に頭がバカになっている。自分でもわかる。

気づくともう手術室前である。いよいよ陣痛が終わるいや、我が子に会えるのだ。


ううん、白状するとやっぱり陣痛が終わる方がこの時は嬉しかったかもしれない。我が子よすまない…。


次回、いよいよ産まれます!

1、2日目はこちらから〜3日目〜この日は日曜日だったのでお医者さんも看護師さんも少人数。前日と同じく促進剤をもう2パック分投入することになった。デジャブか?大体の流れは2日目と同じで、点滴中全く陣痛が来ない。投入から6時間ほど経ってようやく効いてくるが、昨日

1、2日目はこちらから



〜3日目〜

この日は日曜日だったのでお医者さんも看護師さんも少人数。

前日と同じく促進剤をもう2パック分投入することになった。

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デジャブか?


大体の流れは2日目と同じで、点滴中全く陣痛が来ない。

投入から6時間ほど経ってようやく効いてくるが、昨日よりも痛みが少ない。焦るぜ

そして自分の体だからわかる。今日もこの調子なら絶対産まれない。

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お昼ごろ、隣の隣の部屋にもう一人妊婦さんが入院してきたらしい。

個室同士で顔は見えないが仲間ができた気がしてすごくうれしかった。


しつこいようだがとにかくNSTと点滴で身動きが取れず、ただでさえ回らない頭に拍車がかかり「もしかして私だけこのままここで一生子供を産む事なく過ごす事になるのでは?」と疑心暗鬼になる。

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そんな訳ないのだ。少し考えればわかる。少なくともこの施設は赤ちゃんを体内から出すために存在している。


促進剤を打つ期間は本当に終わりが見えず「何日後に産まれるのか」などの指標や、コロナのせいで立ち会ってくれる家族も何もかもが無いため、不安感と持て余した時間で勝手にネットで情報を集めては勝手に不安になることしかできなかった。


そしてこの記事はそうやって焦って検索をかけている未来の同志に向けて書こうと思った。

赤ちゃん出てこないの超焦るよね。めっちゃ安心して欲しいネタバレなんだけど私は明日も促進剤を打つことになるよ。

つまり今日のブログでも子供は出てきません。


〜17時ごろ〜

点滴2本を打ち終わるが変化なし。子宮口3センチ。開かねえ〜!

今日の点滴もこれでおしまいだ。看護師さんからも今日はゆっくり過ごしてくださいと言われてしまった。めげそう!!!

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空が綺麗で腹が立ってきたな…


が、NSTと点滴を外してもらった18時ごろから急に陣痛がやって来た。

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生理痛のような痛みが210分間隔で来る。嬉しい!痛い痛い!でもまだ全然耐えられる!

陣痛って産むまでの間ずっと痛いものだと思ってたんだけど休憩時間があるんだよね。

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1分陣痛、2〜10分ランダムで休憩…という感じだった


とりあえず痛い時はめちゃくちゃ深呼吸をする事で痛みを紛らわせる。そうするといいってネットで見たから。

ナースコールで陣痛が来たことを伝えるも「その感じだとまだまだですね」私のお腹にささっとNSTを装着してすぐに部屋から出て行ってしまった。

そうか、よく考えたら陣痛が来たからといって看護師さんが患者1人にベタ付きする訳ないよなめちゃくちゃ孤独じゃん


〜夜10時〜

陣痛はどんどん強くなり間隔を縮めていくが、日曜で看護師さんが少なく、見回りが全くこない。

気を紛らわせる方法を色々試してみたが、痛みで頭が回らず陣痛間隔を計るアプリで自分の陣痛を記録することぐらいしかできなかった。

が、挨拶にきてくれた初対面のベテランっぽい夜勤の看護師さんに「そんなもん計っても意味ないからやめな!」と言われてしまった。私だってやめられるもんならやめたい。

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また、胎動が激しすぎるためにNSTで計っていた赤ちゃんの心音がすぐに測定できなくなってしまうようで、「動かないでもらっていい!?」と注意されてしまった。

いくら現在ニコイチだからといって私に胎児を止めることはできない。なぜなら別々の個体だからである。

あとできればもう少しだけ優しくしてほしい。私ってゆとり世代だから


気づけば深夜0時を回っていた

病室は新生児に合わせて暖かく設定されており汗をかく。私は2日前から感染予防のためにお風呂禁止。運動してないのに暑くて暑くて仕方ない。

いきむと羊水が出る。全身体液まみれである。気持ち悪いし痛いし孤独だ。

立ち会いがないのがこんなに心細いとは


不思議だったのが陣痛中は痛くて23分ワーッ!と目が覚めるのだが

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きていない間の210分は猛烈に眠い。と言うか寝てしまう。

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ただ、横になると痛みが倍増するため、床の上にヤンキー座りをしたりあぐらをかいたりして陣痛の隙間に気絶のように眠った。それを18時から朝の6時まで一人で続けた。

夜中に1度だけベテラン看護師さんが見にきてくれたが「床は汚いからベッドで寝たほうがいいよ」とだけ言い残し去っていってしまった。あたしゃ別に好きで床に座ってるわけじゃないよ!!!


なんだか余計に寂しくなってしまい野良猫に想いを馳せる。

野良猫はすごい。一匹っきりで赤ちゃんを何匹も産むんだから。

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私は病院に来てこのざまである。なんて野生に適していないんだろう…。

ここがサバンナだったら私は確実に死んでいる。


痛みで苦しむ時間と気絶を繰り返していると朝日が登ってきた。

眩しいまた1日が始まってしまった

夜勤のベテラン看護師さんが「ほったらかしてごめんねー!」と言いながら部屋に入ってくる。なによ!なんか昨日より優しいじゃないの!

これは推測なのだが、恐らく私が入院前に書いたバースプラン(どういうふうに産みたいかをお医者さんに伝えること)にでかい文字で「立ち合いがないのが心細いのでとにかく優しくしてほしい」と書いていたのを読んでくれたのだと思う。もっと早く読んで欲しかった。


しかし夜勤は特に人が少なそうだし忙しいに決まってるので仕方ない。これはマジで仕方ないことなのだ。

「大丈夫ですよ」と伝えたところ食い気味に「昨日入院した人がお産しちゃって」と言われて心がぽっきり折れて泣いてしまった。

でも羨んでも意味がないし、とてもめでたいことなので「良かったです!めでたいですね!」と言いながら泣いた。


「あら、アンタ前向きねー」と言われたがそんなんじゃない。

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自分の心の保身のために取り繕っただけである。本当は夜の間に産めなかったことが悔しかったし、産まれたと聞いて羨ましかった。


隣から2つの赤ちゃんの声。

朝の検診で子宮口が3センチと言われてまた心が折れる。

せっかく夜中中頑張ったのに全然開いてない!めげちゃいそうだ。


次回、地獄の4日目へ続く

〜入院2日目〜ここ数日不眠気味だったが疲れていたせいもあってか5時間ほどまとめて眠ることができた。臨月の妊婦は子宮が巨大化して膀胱を圧迫するので常に頻尿と戦っており、不眠になるのだ。朝から体にNSTをつけてもらう。NSTとはノンストレステストの略らしい。機械を母

〜入院2日目〜

ここ数日不眠気味だったが疲れていたせいもあってか5時間ほどまとめて眠ることができた。

臨月の妊婦は子宮が巨大化して膀胱を圧迫するので常に頻尿と戦っており、不眠になるのだ。

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朝から体にNSTをつけてもらう。

NSTとはノンストレステストの略らしい。

機械を母親のお腹に装着し、胎児の心音と母親のお腹の張りを胎児にストレスなく記録するというハイテクな機械であるが、母体は複数のコードに繋がれる上にトイレに行く時にもデカい腹にコードをくっつけ、重い機械を連れていかねばならない為、かなりのストレスを感じていた。邪魔すぎる。

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でも胎児にストレスさえかかっていなければよいのだ。母体32歳、大人なのでこれぐらい我慢できます。


NSTはゆるいゴムをお腹に巻いてくくりつけられているだけなので、私がや胎児が少し動くとすぐにズレる。

ズレるたびに看護師さんが心配そうに部屋に入ってきてお腹のNSTをセットし直す。

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忙しい中本当に何度もすみません。


直してもらうついでに内診をしてもらうことに。

結果は羊水が少し減っているけど何も問題なし。

ついでに「羊水減ってたら足せるから安心してね」とサラッと言われた。

羊水って足せるんだ…知らなかった…。


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子宮口は1センチ。昨日から何も進んでおらずヘコむ。


とりあえずこの日は点滴の軽い促進剤を投与して様子見することになった。

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〜促進剤注入開始〜

昨日は絶対に乗らなければいけないジェットコースターの順番を待つ気分だったが、今日は降りることのできないジェットコースターに乗り込んだ気分だ。

上手くいけば今日、噂に聞く猛烈な痛みを味わうことになるのか。どんな痛みなのだろう。


いままで色んな出産レポートやエッセイを読んできたが、正直「陣痛」がどんなものなのか上手く想像できたことは一度もなかった。


「ロードローラーで何度も腰を轢かれる感じ」だったり、「上半身と下半身がちぎられるような痛み」だったり、「痛過ぎて気絶した」だったり、とにかく色んな表現を見てきたが、どれもこれも体験したことのないタイプの痛みすぎてピンとこない。ただとにかくものすごく超絶に痛いことだけはわかる。


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点滴が落ちていく。

プロレスラーの北斗晶さんが人生で感じた痛みの第2位に陣痛を上げていた事を思い出す。

ちなみに3位がフェンスにぶつかって膝の骨が見えた時、1位が治療で頭蓋骨に穴を開けた時らしい。

その中間が出産だ。考えれば考えるほど想像がつかない。怖すぎる。


しかしここまでくれば腹か股か腰か、どこかを猛烈に痛めないと家には帰れない。できるだけ早く産んで早く家に帰りたいので頑張るしかない。


私のドキドキと覚悟とは裏腹に、陣痛はなかなかくる気配を見せなかった。

暇である。とりあえずiPadで落書きをして時間を潰してみたりするが点滴が邪魔で気が散ってしまいなかなか集中できない。

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実際に描いていた絵


午前9時に点滴を開始して、11時頃からから徐々に軽い生理痛のような波が来る。

が、それだけ。やはり子宮口が中々ひらかず、昼の内診で子宮口1.5センチ。産めるのは10センチになってから。気が遠くなりそうだ。

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入院しているのは個室病棟で広々快適なはずなのだが、NSTと点滴に繋がれてとにかく本当に不便。


先ほど我慢すると書いたものの、ベッドを挟んで右に点滴、左にNST。左右から管が伸びていて寝返りが打てない。トイレに行きたいが行く気力が湧かない。ああヤダヤダ!文句ばかりですみません!!!

NST、これはもう少しどうにかならないのか!?コードなしにはならないのか!!!多分ならない!だってなるんだったらもうとっくに誰かが提唱して作られて普及しているはずだから!

全ての機械の付属品には意味があるはず。バカの私はそう思うことでこの逆境を乗り越えようと決めた。

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〜13時ごろ〜

1本目の点滴が終わり、2本目が注入される。痛みは相変わらず軽い生理痛という感じでなんの進展もなし。

子宮口の様子見をされる。グリグリである。

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グリグリされるけど子宮口は多めに見積もって1.5センチだった。


内診は痛いが自分にはどうすることもできない。医学の知識が何もない私には何もわからないのだ。

産み方も子宮口の開き方も何も知らない。今の私にわかるのはイラストのレイヤー分けの方法だけ。それ以外は何もわかりません。

お医者さんだけが頼りなんです。もうどうにでもしてください。


グリグリの後、真昼間にも関わらず助産師さんに「この感じだと今日はもう出てこないかもね〜」と言われてしまった。

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まだお昼だよー?今言うー!?


16時頃〜

結局2パック分促進剤を打ち終わってしまい、子宮口の開きは2センチ。牛歩すぎる。

この時、促進剤のおかげでちょっとだけ腰が痛くなり始めて、折角陣痛も強まってきていたのに今日はもう点滴もおしまいらしい。

今日産まれないということはまた入院期間が1日伸びてしまった。トホホである。


促進剤が外れた後も、結局抗生物質を打ち続けなければいけないため身動きの取れなさは変わらず、暇を持て余した私は色んな情報を漁ってしまう。

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抗生物質打ちまくり


促進剤を打った人はどのぐらいで子供を産むのか、どうやって産んだのか、何時間で産んだのか。破水してから出産までのタイムリミットはどれぐらいなのかなど。

読めば読むほど不安になるし、みんな私より早く産んでいる気がする。


家に帰りたいけど産むまでは帰れない。

赤ちゃん産むまで帰れま10である。

隣の部屋からは昨日生まれた赤ちゃんの声。いつ帰れるんだ。心細すぎて少し泣いてしまった。

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涙ポロ


入院バッグ、家を思い出せる何かを入れてくればよかった

見て元気を出せるグッズみたいな物が何もない。結婚指輪を首から下げて持ってくればよかった。元気が出たかもしれないのに。

仕方ないので入院前に夫が買ってくれたいろはすの蓋をお守りとしてベッドの横に置き、夫だと思うことにした。

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今思うとたった2日でこんなに心細くなってどうするんだと思うが、当時は本当にいつ産まれてくるのか先が見えずバカほど心細かった。

おそらく信仰はこういうふうにして生まれるのだろう。


子宮を収縮させているので子供の方が苦しいはず。破水もしてるし羊水が減ってお腹の中の居心地が悪くなっているんじゃないかとかなり不安だ。

明日も頑張ろうと思いながら眠る。

眠る頃にはお腹の痛みも張りもなくなってしまった。

明日も1から仕切り直しだ。

あー、早く家に帰りたい!


3日目に続く



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

入院2日目で持っていってよかったと思ったもの

・コンセント付きのポータブル充電器

なにかと充電できて便利だった


・お菓子

家で普段食べているお菓子を食べたら少しほっとした


S字フック

ベッドサイドにカバンをかけられたので点滴やNSTをしながらでも持っていったものを取ることができた


・Kindle(アプリ)

気を紛らわせるために漫画をいっぱい入れていった。

ついでにKindle Unlimitedに入っていたので簡単そうな読み物をいっぱい読めてよかった。


持っていけばよかったと後悔したもの

・汗拭きシート

とにかく産院が暑くてお風呂が禁止だったので地獄みたいに体が気持ち悪かった。

看護師さんに体を拭いてくださいっていうのも申し訳なくて言い出せなかったので本当に持っていっておけばよかったと何度も後悔した。


・家を思い出せるアイテム

入院が長引くと本当に心細いのでメンタルケアできるものが欲しかった。



それは出産予定日12日前の事であった。早朝、臨月で頻尿だった私はトイレに行き、本当になんとなく「もうすぐ予定日だしな」と思って股間にナプキンを当ててトイレを出た。その後寝室に戻って布団に入った瞬間、何か温かいものが股間を包む。あ…コレ破水だ…この時朝6時50分
それは出産予定日12日前の事であった。
早朝、臨月で頻尿だった私はトイレに行き、本当になんとなく「もうすぐ予定日だしな」と思って股間にナプキンを当ててトイレを出た。
その後寝室に戻って布団に入った瞬間、何か温かいものが股間を包む。

あ…コレ破水だ…


この時朝6時50分。
ナプキンをつけていてよかったと思う気持ちと、「破水じゃん!」という気持ち、予定日よりもかなり前じゃないかという気持ちと、夫に報告しなくてはという気持ちが混ざり合い若干テンパる。
自分の状況を冷静に判断しようと思って意識的にお腹にギュッと力を入れると羊水が出てくる。いや、羊水が出てくるって何。怖すぎる。


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急いで夫を起こすと夫が「え!?どどどどどうする!?僕が病院に電話かける!?!?!?」とテンパりながら動物園の熊みたいに部屋をぐるぐる歩き始めた。

病院からは検診の時に毎回「陣痛や破水があればひとまず妊婦本人から連絡をください」と100回ぐらい言われていたのでその事を伝えると「忘れてた…そうだよね…」と言いつつまた熊のように家中をソワソワ歩く夫

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確実に私の50倍ぐらいテンパっている。
だめだ…私がしっかりしなくちゃ…

取り敢えずタクシーアプリでタクシーを呼ぶ役を夫に任せ、私は病院に電話をした。
病院に電話をすると「すぐに来てください」とのこと。
妊娠するまで知らなかったのだが、陣痛からではなく破水から出産が始まる場合、赤ちゃんのいる場所と外の世界が繋がってしまい、雑菌などが赤ちゃんのいる場所に入ってしまうリスクがあるために緊急入院になってしまうらしい。
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電話を切り終わり、突然決まった入院にこれまた少しテンパる。


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犬猫と離れる事が死ぬほど寂しくなってしまい泣いてしまった。

世はまさに大コロナ時代、病院は厳重にウイルスをシャットアウトする必要があり今回の入院は立ち合いも面会も無しなのだ。
覚悟をしていたつもりだったが、通常分娩だと5日、帝王切開だと8日の入院が必要となる。
上手くいっても最低5日間は夫とも犬猫とも会えなくなると思うと急に心細くなった。


ちなみにこの日の翌日は夫のバンドが1年の休止から復活する結構特別な日で、「被らなければいいよね〜」という話をずっとしていたのだが、見事に被った。
夫は「絶対絶対絶対かぶると思ってた!僕たちの子供だから!タイミング絶対そういうのに被せてくると思ってた!!!」と呟きながらタクシーがやってくるまでずっと部屋の中を練り歩いていた。
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タクシーに乗り込むと運転手さんも察してくれており、家から徒歩4分ぐらいの距離に病院があるにもかかわらず丁寧に送迎してくれて、降りる際も「元気な子を産むんだよ!」と言ってくれた。緊張で涙腺がバグりまくっている為に運転手さんの親切さが嬉しくてまた泣く。

前述した通り夫は面会も立会もできないため、夫とも産科の手前で別れることに。
生まれかこの方32年、私は結構冷静な性格をしていると自己診断していたのだが、夫と離れることにマジでえげつないぐらい心細くなってしまい別れ際に号泣してしまった。今この記事を書きながら自分の行動を振り返っているが全然冷静ではなくて驚いている。


〜入院〜
緊急でPCR検査をして、股間から出ている水が羊水であると確認を取り、お医者さんが指で内診してくれた。
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痛すぎて「ギャア〜ッ」と叫んでしまった私に、お医者さんは「今からもっと痛い思いをするんだから…」と言ってきて「なるほど」と一瞬納得したがよくよく考えると痛い時間は無ければないほどいいに決まっている。
この内診、間違いなく絶対に必要な痛みであることは理解しているが、もう少しなんとかすることはできないのだろうか…?

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この時破水はあったが陣痛は来ていない状態。
とりあえず1日目は抗生物質を体内にいれつつ様子見をする事になった。
「今日陣痛が来なければ明日促進剤か帝王切開だねー!」と言い医者は颯爽と去って行った。

「どっちも痛いだろうし怖いなぁ」「でも今日か明日には産まれるのか!どんな感じで感想を書こうかなー」などと呑気に考えていたが甘かった。
ネタバレをすると私はこの後4日間、子供が産まれずに地獄を見ることとなる。

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無事に入院していろんな書類にサインをしたり、仕事先の人や友達に緊急入院になったと報告したり、説明を聞いたりでバタバタしたりしたらあっという間に昼になった。
昼食を食べると途端にやることがなくなる。
破水するとできるだけ安静にしておかなければならないため、ベッドで横になるしかない。

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暇になると怖くなって色々な出産に関する記事を検索し、勇気を出したり怖くなったりという今心配したって完全にどうにもならない行為をし続けてしまう。
絶対に乗らなければならないジェットコースターの順番待ちをしているような気分だ。

タイミングよく隣の個室にも妊婦さんが入院してきたらしく「いたーい!」という声が聞こえてきた。
仲間だ!と思い嬉しくなる。がんばれがんばれー!

そんな感じで隣の声に耳を澄ませたり、検索をしたりうとうとしたりしているうちにあっという間に夜になってしまった。
結局陣痛は一ミリも来ず。検査のたびに羊水がダバダバ出てくるのみ。
「子宮口は多めに見積もっても1センチ開いてるか開いてないかですねー」と言われ絶望した。
アホな私でも知っている。赤ちゃんを産める子宮口の広さは10センチだ。まだまだ先は長い。

今日は出産の12日前だもんね…そりゃ開かんわな…などと自分を納得させる。

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破水すると感染リスクがあるためにお風呂に入ることができない。産院は赤ちゃんに合わせて気温が高めに設定されているので汗をたくさんかいてしまった。風呂、入りたすぎる。
夫に会いたい。犬と猫にもだ。

寝る前に隣の部屋から赤ちゃんの声が聞こえてきた。「私より後に入院してきたのに早くてすごい!」と感動。同時に少しだけ気持ちが焦る。
私無事に産めるのかしら。

人によってお産のスピードは当たり前にまちまちに決まっているのに人と自分を比べて少し辛くなる。
結局消灯時間まで陣痛は全く起こらず、この日は諦めて寝ることになった。


2日目レポに続く