4日目

朝から「今日は強い促進剤に切り替えましょう!」とお医者さんが言いにきた。

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不安だしデジャブ〜!


ただ昨日と違うのは今の私は猛烈に寝不足で、かつ陣痛も昨日までの促進剤できっちりきており体力も削られている。

そんな中、更に強い促進剤を打っても大丈夫なのかしら


不安すぎて「ギャァ〜耐えられるかな〜!」とお医者さんに向かって戯けてしまうと

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それを察してか「大丈夫、今日絶対産みましょう!」と言ってくれた。

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信じていいのね…?


〜朝9時〜

投薬が開始された。

元々陣痛があったので強い薬が足されたことにより開始直後早速ものすごい陣痛。

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普通、陣痛は10分から1分間隔まで痛みのない時間が徐々に減り、最後は4060秒陣痛、1〜2分休憩というリズムになるらしいのだが、この時私に来た陣痛は5〜7分の陣痛、2分休憩であった。

57分痛みがきて唸り、2分気絶したように眠る。眠い!痛い!

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拷問だ。

私は今薬によって拷問を受けている。

内臓に小さくて陰湿な妖怪を送り込まれ、そいつにグサグサ子宮を刺され続けている。

私が生まれてから32年間あらゆる所で起こしてきた罪を今この病院は償わせようとしてきている。

今までご迷惑をかけてきた皆さんすみませんでした。

安心してください。私は今あなた方におかけしたご迷惑の罰を受けています。


最初NSTがうまく反応しておらず私の痛がり方が変だということに誰も気づいていなかったが、自分で間隔を測るアプリを使い記録していたのでそれを見せたところ、急に看護師さんが何やら電話をし始めてお医者さんが駆けつけてきた。

ほらァ!やっぱりアプリ使っててよかったじゃーん!

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言ったじゃーん!


看護師さんは「どうしましょう?点滴続けますか?」とお医者さんに尋ねている。その間も私には陣痛が来る。

すみません。点滴を止めてから話してもらっていいですか…?

実は私はこの出産、静かに産むことを自分の中の目標にしていたのだが、この時にはもはや声を押し殺す体力も残っていなかった。

もう隣の部屋に人がいるからとか遠慮している場合ではない。


陣痛が来るたびに「ウウー!」「アアー!」と声が出る。

実はついでに私は小学生では応援団に、中学生では合唱部と水泳部、高校では演劇部に入っていた。

肺活量と声量のみを鍛え続けた青春時代、その甲斐あって私の叫び声は自分でも引いてしまうほどとにかくデカかった。

隣の部屋の人は産後疲れている中、ただただでかい叫び声を聞かされてさぞ最悪だろう。本当に申し訳ない。誰か私の声帯をいますぐ取ってくれ。

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投薬から30分、点滴中断。

中断したからといって陣痛が止まることはない。

子宮口4.5センチ。こんなに苦しくて4.5!!!私の身体のクソが!!!!!!!!!!


点滴をやめると陣痛間隔が長くなってきて、ひとまずご飯を食べて様子見することになった。

間隔が長くなるだけで普通に陣痛は来る。

痛すぎてご飯もまともに食べられない中、看護師さんが「先生が12時から点滴再開しよっかって言ってたよ!」と元気に報告しにやって来た。

なるほどね!死刑宣告ってこんな感じか!!


また、新たな発見なのだが私は内診グリグリと促進剤を併用されると、痛みではなくものすごく性的に不愉快な気分が押し寄せるようになることに気づいた。

最悪の表現で申し訳ないが、子宮内部に指を突っ込まれ無闇矢鱈にガシガシされる気分がずっと続くのだ。促進剤、邪悪すぎる。


〜12時〜

投薬再開直後から驚くほどの痛み。

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そして子宮口4.5センチなのにもう「いきみたい!」が始まってしまった。

これがまた難儀で、実際は赤ちゃんが降りて来ている感覚らしいのだが、猛烈に猛烈に猛烈にうんちがしたい気分になる。


いきみ逃しにいいと聞き、入院前に意気揚々と自宅で用意していたテニスボールを一人寂しく尻に当てるもうまくいかず、陣痛が来るたびに性的な不快感が押し寄せ、でかい声は止まらず、うんちも我慢しなくてはならない。やることてんこ盛りである。


陣痛が来るたびに汗と羊水と涎が噴き出るがかまってもいられない。

「ウワー!」っと馬鹿でかい声を出しながら床に這いつくばって苦しんでいると看護師さんがきて軽く私の腰を押しては慌ただしく出ていく。

私はその背中を見ている。看護師さん立派な仕事だ忙しいのに来てくれて腰もさすってくれて

でも頼む一生のお願いをここで使わせてくれ出て行かないでくれ

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ベッドで寝たい。でも寝たら余計に痛い。床に座るしかない。床は床で痛い。

もう野良猫に想いを馳せる余裕も持てない。

この頃には1分寝ては5分〜7分陣痛で苦しむ状態を繰り返していた。だめだ!おかしくなる!ギャー!

1時間半ほど耐えて泣きながら布団を噛んでいたら先生が現れて仰向けにされ、グリッと内診。

その仰向けと内診がもう無理!!グリっとされるともう最悪!!!

「お腹の中が気持ち悪いよー!!!」と泣き叫んでしまう。32歳なのに。

子宮口4.5センチ!最悪!もうダメ!


と、ここで先生が「原田さん!聞こえますか?」と一言。

「聞こえてまーす!」と泣きながら絶叫すると


「今日は月曜日で今はお昼なのね。

それで原田さんのお腹はもうすぐ感染症のタイムリミットなんです。

こうなってくると今から緊急で帝王切開にするか夜までこの薬を頑張って自然に産むのを待って無理なら帝王切開にするかどっちかになるの。

夜はスタッフが少ないんだけど、どうしたい?

という2択を提案してきた。

誰がどう考えても前者がいいに決まっている。もう無理。何も考えたくない。

「今帝王切開しまーす!」

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帝王切開、妊娠中は怖い怖いと思っていたが、ここまでくるともう地獄に現れた一本の蜘蛛の糸である。


「わかったー!じゃあ準備するから!」と先生は颯爽と走っていく。助産師さんは私をベッドに押さえつけて尿のカテーテルを差し込む。

おしっこが勝手にジャージャー出ていく。

うんこしたい!お腹気持ち悪い!陣痛が来る!おしっこが勝手に出る!

何で!点滴したまま!それするの!止めてー!!!


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我慢できずに「促進剤を止めてくださーい!」と絶叫するとやっと投薬が止まったが、陣痛は止まらない。神様私が一体何をしたというの


助産師さんが車椅子を持って現れ、私を車椅子に乗せてくれる。ありがとうございます!!!

なんでもいい!誰かはやくこの陣痛を止めてくれ!

「おしっこしたーい!」と泣きながら絶叫すると

「もうカテーテルからおしっこ出てるよー!」と諭される。

車椅子に乗って手術室に向かう間ずっと私と助産師さんはこの

「おしっこしたーい!」「出てるよー!」の会話を繰り返し続けた。私は今完全に頭がバカになっている。自分でもわかる。

気づくともう手術室前である。いよいよ陣痛が終わるいや、我が子に会えるのだ。


ううん、白状するとやっぱり陣痛が終わる方がこの時は嬉しかったかもしれない。我が子よすまない…。


次回、いよいよ産まれます!