~帝王切開開幕~

早く早くと願いながら車いすを押されてようやく手術室に来た。
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出ているのは知ってるんだけど叫ばずにはいられない

陣痛中だけど意外と頭って冷静で「手術台って意外と幅が狭いんだ~」とか「へえ~ここにある画面に心電図が映るのか~」とか考えていたことを覚えている。

執刀医さんやら看護師さんが挨拶をしてくれて、気づけばあれよあれよと裸になり、手術台に寝かされ背中に麻酔を入れられた。
何故か陰毛を剃られている。もうなんでもいい。この陣痛の波さえなくなればなんでもいい。好きにして。
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麻酔をチクッっとやったあと、すぐに足先が痺れてきて次の瞬間陣痛が一瞬で消えた。

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て、て、て、天国じゃん!!!!!!!!!!

とにかく陣痛が消えたことが嬉しすぎて止まっていた思考がグルグル回転し始める。麻酔やべェ〜!
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ヤベエ~!

興奮して手がめちゃくちゃ震える。猛烈に眠いけど脳がギンギン。
痛くないことが嬉しすぎてどうでもいい事とかくだらないことを想像しまくったり思いつきまくる。

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そうだ。胎盤、胎盤が見たい。
バースプランに書き忘れていた。私はこの十月十日お世話になった胎盤がみたい。
めちゃくちゃいい考えだ、絶対見よ!!絶対絶対!ここからウチらのポジな思い出作ってこ!!!
ウチと赤ちゃんと病院の皆で思い出作っちゃお!!!

という旨を簡潔に先生に伝えてみるが、うわ言だと思われたようで無視されてしまった。チェッ!である。

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さみしいけれど私は大丈夫

手術室のライトにほんのり自分のお腹が映っている。お腹の下の方が赤い。
よく見えないけど多分私は今お腹を開かれている。お腹を開かれるのは人生初だ。
恐らく冷静な状態であればめちゃくちゃ怖いはずなのだが、今の私の脳は寝不足と混乱で全く普通ではないので「うわぁ〜私って本当に内臓があるんだ〜」程度の感想しか湧かなかった。
へえ~、帝王切開ってそんな下のところを切るのね。

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手術室はオルゴールのディズニーソングが流れていて、モニターの音と手術道具をカチャカチャする音、先生たちの話し声しかせずかなり静かで、もう2日ほどまともに寝ていないせいかその音が気持ちよくて気持ちよくてウトウトしてしまう。
多分お腹に手を突っ込まれている。体がゆさゆさ動く。それすらかなり気持ちいい。
麻酔、合う合わないがあるとよく聞くが今の私はかなりアッパーな効き方をしているようだ。ラッキー!

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ラッキー!

赤ちゃんが出てきたら縫合の時は寝ちゃおう。疲れたから。

赤ちゃん、どんな顔だろう。十月十日私のお腹の中にいた会ったことのない人。促進剤をたくさん使って苦しい思いをさせて申し訳なかったな。
無事に産まれたら仲良くしてくれるかな。
でかいモニターに私の心電図が写ってるの、なんかウケるな。

などとグルグル考えている約10分後、赤ちゃんの声が聞こえた。
「ホギャー」である。
ドラマとかで聞いたことのあるやつだ。すごい!私のお腹にいたやつ!お前はそんな声だったのか!
カーテンで顔が見えない!本当に私のお腹の中に人間が入っていたんだ!あんまり信じてなかった!!早く見たい!!!

妊娠中「産まれる前に赤ちゃんに何かあったらどうしよう」とばかり考えていて、もしもの時のためにあまり胎児に好きという感情を抱かないよう努力していたが、声を聞いたらもうだめだ。
ここから先もきっと不安なことだらけのはず。ならば今好きにならないと勿体ない。これ以上好きにならないのはもう無理。もう好きになる!というか好き!えーん!声だけで既にかなり好き〜!
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好きになりま~す!

先生が見せてくれた子供はなんか白くてボヨボヨでびちょびちょで浮腫んでいて、そしてとても可愛かった。
あととにかく爪が伸びていて「すごい!爪長ーい!」と声が出てしまった。
子供への第一声「爪長い」。
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しかもギザギザ

ミスっちゃったかな。
でもその中に「会いたかったよ」とか「はじめまして」とか「そんな顔だったんだね」とか全部詰め込んだつもり。
それにしても爪長いなぁ〜、私の中でちゃんといろんな細胞が育っていたんだ。凄いね、ありがとう。

嬉しくて嬉しくてニヤニヤしていると、看護師さんがデジカメを持ってきて子供と私の写真を撮ってくれた。
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写真を撮る間も私のお腹はガッツリ開いており、お医者さん達が私のお腹の中を見てあれやこれやしている。
私の人生史上、一番死に近い状態にいるのにデジカメで写真を撮られて「はいチーズ」とかやってるのヤバいな。
江戸の武士達よ、見ていますか?令和の女は腹を開きながら写真を撮ります。凄いだろ。

ああよかったな、会えてうれしいな。
猛烈に安心して胎盤を出したりお腹を縫ってもらっている間うとうと眠った。


手術が終わって部屋に帰ってきて、いろんな管とか点滴とか足にはなんか自動でシュコシュコするやつをつけられて、もう胎動のしないお腹に想いを馳せた。

一生に一度あるかないか。自分の中に十月十日他人がいた。
正直生まれるまで全部ドッキリでした〜って言われても信じるぐらい妊娠している自分の状況に自信がなかった。
全部が初めての体験で、毎日起こる全てに緊張していた。

でもお腹のなかの人は一人で頑張って栄養を受け取って、頑張って大きくなって、そして今日外の世界に出てきたのだ。
よく頑張ったね、すごい!あんたは立派だよ!!
「産まれてきてくれただけでじゅうぶん親孝行」という言葉があるけど、それを身をもって知ることができた十月十日だった。
まだ産まれてからちょこっとしか会ってないけど本当にあなたって完璧。ようこそ地球へ。

きっとこの先、お腹の中にいた人が生きていく中で辛いことや悲しいことに巡り会う時があるんだろうなあ。けど、なるべく幸せでいてほしいと思うよ。
私たちがあなたに生きる時間をプレゼントできたことをあなたが少しでも喜んでくれたらうれしいな。

もしかしたら「産まれたくなんてなかった」なんて思う日もあるかも。私にもあったよ。
でも私たちが中の人だったあなたに会いたいって思ってここまで来てもらったから、私たちにできることがあればなんでもしてあげたいなあ。力不足なことの方が多いかもしれないけど。

本当に生まれてきてくれてありがとう。
苦しくて痛い4日間だったけど、そのかわり凄く凄く色々なことを考えた4日間だった。
結果的にコロナ禍での出産と陣痛と帝王切開、全部味わえて得をしたように思う。最中は地獄だったけど。

色んなことをぐるぐると考えて感動したり、夫や友達にラインをしていたら看護師さんが中の人だった人に少しだけ会わせてくれて、それがとても嬉しくてちょっと泣きそうになった。
その後一人になった病室で、麻酔が切れるのが少し怖くて、もう寝ちゃおうと思って目を閉じた。

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さようなら私の妊婦生活。すごくすごく楽しかったよ。



~余談~
緊急での帝王切開だった為、看護師さんに「旦那さんに電話できる!?」と尋ねられたが、普通に話せる気がせず夫に送ったライン
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このブログを書くにあたって読み返したところ、焦りすぎて文章が簡素になってしまいかなりの手練れ感が出ていた。